あの時、永遠の別れを済ませたはずだった。
しかし、忘れたくても忘れられない。
いつしかあの湖を再び訪れてしまった、シン・アスカ。湖の畔に立ちつくし、
思い出すのは、ステラの元気な姿。
くるくる踊るステラ、一緒に焚き火に当たったステラ、貝殻をくれたステラ…。
ステラの思い出に浸るシン。
と、その時!
ゴボゴボゴボ!
水面が急に泡立つ。
シン「何?水中モビルスーツか!?」
あわててコクピットに戻ろうとする…が、
良く見ると、泡立ちはそれほど大きなものではない。
みるみるうちに水面が盛り上がり、
ザッバーン!
現れた影は、徐々に人のような形を現す。
どうやら、老人のようだ。
シン「何だよ?あんたは!?」
老人「わしか?わしは、この湖の神様じゃ!」
シン「うえぇ~ぇ~ぇっ!?」
(思わずアーサーのようなリアクションをしてしまう、シン)
神様「ところで少年!この湖に何か落し物をしなかったか?」
シン「落としたっていうか、沈めたっていうか…」
神様「何!?もしや故意に捨てたのではあるまいな?
不法投棄は犯罪じゃぞ!
それに環境保護の観点から、各種団体も黙っておらぬぞ…」
シン「神様のくせに、妙に現実的だなぁ…」
神様「何か文句があるのか?」
シン「あ、いえ、何でもありません」
神様が水に手を入れ、何かを引っ張り出す。
神様「お前が落としたのは、これかな?」
と言って、神様が見せたものは…、金のステラ!
確かにステラにそっくりだが、全身が金色に輝いている。
シン「何これ?百式ですか?」
神様「パイロットはクワトロと名乗っているが、実はシャアでな…。
わしは神様じゃから、何でも知っているぞ。
…って、そうじゃなくて!」
シン「うわ!…神様がノリツッコミかよ?」
神様「…で、どうなのじゃ?」
シン「あ、いや…、確かにステラに似てるけど…、
俺が落としたのは、こんな金ピカじゃなくて…」
神様「そうか、違ったか…」
再び何かを取り出す、神様。
今度は…、銀のステラ!
シン「金なら1枚、銀なら5枚ってね…」
神様「もう乗ってやらんぞ!…で、どうなのじゃ?」
シン「これも違います」
神様「そうか、違ったか…」
またも何かを取り出す、神様。
今度は…、普通のステラ!
シン「あ、これです!これ!」
「ステラ!会いたかったよ!」
神様「少年よ、お前は正直者じゃ!
褒美として3つともお前にくれてやろう」
金・銀・並、3人のステラをもらってしまった、シン・アスカ。
金ステラ「シン…ステラ…守るって…」
銀ステラ「シン…ステラ…守るって…」
並ステラ「シン…ステラ…守るって…」
シン「うわ!3人ももらっちゃって、どうすんだよ?俺…」
金ステラ「シン…好き」
銀ステラ「シン…好き」
並ステラ「シン…好き」
シン「参ったなぁ…。とりあえず、ミネルバへ帰ろう」
金ステラ「ミネルバ…?」
銀ステラ「ミネルバ…恐い?」
並ステラ「やっつけなきゃ。恐いものは…全部!」
金ステラ「いやぁ~~ぁっ!」
銀ステラ「いやぁ~~ぁっ!」
並ステラ「いやぁ~~ぁっ!」
そして、暴れ出した3人のステラに、ボコボコにされるシン。
シン「ステラ!やめろ!やめてくれ~!」
しかし止まらない、3人のステラ。
そして、ついに…、
3ステラ「ジェットストリームアタ~ック!」
シン「うわ~ぁ~~~っ!」
ミネルバの居室。
ベッドから飛び起きる、シン。
シン「何だ?夢か?」
「恐い夢だったなぁ…これぞ『悪夢』って感じ…」
シン「ったく!これも全部あいつ(フリーダム)のせいだ!」
…と、さらに憎悪を燃やすシン・アスカであった。
…本当の34話「悪夢」へ、つづく!
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